三友電気の社員の吉田洋治氏は現在45才、妻の陽子さん、16才の長女のまどかさん、14才の長男の公一さんの四人家族だ。以前は典型的な会社人間だった吉田氏は一週間の労働時間が約80時間でほとんど家にいなかった。しかし、バブル経済が崩壊した後不況の波が三友電気にも押し寄せ、吉田氏も去年から残業がなくなり、5時の終業と共に退社し、6時半には家に戻って来るようになった。それで現在二つの大きな問題がある。一つは収入、もう一つは生活の変化である。
吉田氏の給料はまあまあだったが、今までは毎晩残業をして残業手当をたくさん稼いでいたので、去年約1千万円の年収があった。ところが、去年から会社が経営の合理化のために不必要な残業を禁止したので、残業手当がほとんどもらえなくなり、今年は年収が20パーセントも減ってしまった。妻の陽子さんは専業主婦で収入は全くない。何とか生活費を節約して家計が赤字にならないようにしてきたが、先月はとうとう赤字になってしまった。
もっと深刻なのは生活の変化である。吉田氏は今まで早朝出勤し深夜遅く帰る毎日で、週末も接待ゴルフなどでほとんど家にいなかった。家にいる時間が極端に少ないために一週間子供達と全く話をしない週も度々あった。しかし、去年から残業が出来なくなり夕方帰宅するようになり、週末も家にいることが多くなった。当然家族と話をする時間が増えたが、今までゆっくり話をしたことがなかったので、何について話をすればいいか、どのように話をすればいいか分からずに会話が不自然に途切れることもある。また、今まで家では食事をして寝るだけの生活を送って来たので、自分の好きなことをする時間も精神的余裕も全くなかった。家事も今まですべて奥さんがやってくれたので、吉田氏は全く出来ない。だから、家のなかで何をすればいいか分からずに困っている。この頃は休みの日に家にいても何となく落ち着かないので、130円の切符を買い、昼間ずっと電車に仱盲菩侣劋潆j誌を読むこともある。
陽子さんも、吉田氏が家にいるようになってから以前の生活と全然異なるので戸惑っている。前は7時前に吉田氏に朝食を食べさせてあげて会社に送り出せば、後は深夜帰宅するまで自分の好きなことができた。朝、家事を済ませ、午後は趣味のテニスやコーラスの練習ができた。週末も好きなテレビ番組を見たり、子供達と近くの公園を散歩したり自由にいろいろなことができた。ところが、最近は6時半になると吉田氏が帰って来るので、夕食の支度をしなくてはいけない。酒が好きな吉田氏は晩酌が長いので、その間吉田氏のそばに座っていなくてはいけない。週末も朝、昼、晩と三回きちんとした食事を作らなくてはいけないし、吉田氏がテレビの前でゴロゴロしているので、自分の好きな番組が見られないこともよくあるし、勝手に外出もできない。吉田氏の世話が増えただけでなく、自分が自由にできる時間も減ってしまった。
吉田家は年収が減り、今までの生活と全然違う生活をしなくてはいけないので、今深刻な問題に直面している。
「吉田家の問題」を読んで、次の質問に答えなさい。
1 吉田氏の今年の年収はいくらぐらいですか。
2 吉田氏の残業がなくなったのはどうしてですか。
3 吉田氏は通勤に片道どのぐらい時間がかかりますか。
4 吉田氏の年収が減って、奥さんはどうしていますか。
5 今の生活で吉田氏はどんな問題がありますか。
6 陽子さんの今までの生活と現在の生活を比較しなさい。
今までの生活ー
現在の生活ー
7 吉田氏の年収が20パーセント減りましたが、吉田夫妻は次の3つのことを考えています。その3つについて良い点と悪い点を説明しなさい。
A:週末に吉田氏がほかの新しい仕事をする
良い点:
悪い点:
B:奥さんが週日にパートをする
良い点:
悪い点:
C:週末に吉田氏が家にいて、奥さんがパートをする
良い点:
悪い点:
8 今の生活をよくするために吉田氏と奥さんは何をしたほうがいいと思いますか。
吉田氏:
奥さん: