らくらく学習術
先ほど、外国語を学ぶときには翻訳してはいけないと言いましたが、それは相手と会話をするときの話です。そのさいに頭の中で翻訳するのはいけないのですが、本を読んでいるときに理解できない単語を調べるべきです。全体の意味があるていどわかる場合、人間はだいたい楽をすることが多く、わからない単語の意味を調べようとはしません。そして、①その単語が四回も五回も出てくると、どうも気になってついに調べることになります。
ところが②それは大損なのです。なぜかというと、最初に調べておけば、二回目に出てきたとき、三回目、四回目、五回目は復習になって、その単語を覚えてしまえたのです。五回目にはじめて調べたら、③復習のチャンスを四階もなくしたことになります。だから、ぼくはわからない単語を全部調べながら、三週間弱でこの本を全部読みました。そのあいだに、わからなかった単語を1000語以上も単語帳に書いて、ほとんど覚えてしまいました。
(中略)
勉強の成果は、けっして勉強した時間に比例して身についていくのではありません。勉強をはじめたときには、単語が身についていくのがわかるのですが、そのあとは長い④平らな時期がきます。多くの人はその時期がきて、勉強しているのに全然進歩が感じられないので、「ああ、ぼくはだめだ。外国語の勉強は向いていない」とか、「自分には才能がない」と思うのです。そう心の中であきらめてしまうと、いくら勉強してもあまり進歩はありません。
そうではないのです。しばらく平らな時期がきて、それを越せば一段とうまくなるのです。ジグソーパズルをしているときを思い出せば、イメージとしてわかると思います。いろいろな部分が小さな塊になってきているのですが、つながりがつかない。ところが、一ヶ所でも橋渡しができると、一気に大きな塊ができます。また、別の部分もつながって塊になり、こうして全体ができあがっていきます。
(⑤)、いろいろな単語や表現が、ばらばらと記憶の中にあったものが、突然かたまって、つながりができることによって、一段とうまくなることができるのです。それからまたしばらく進歩がなくて、また一段とうまくなる。これのくりかえしなのです。
(ピーター.フランクル『ピーター流らくらく学習術』岩波ジュニア新書)
~弱:~がらい、~より少し少ない↔~強
比例:「X*Y=Z」で、Xが一定のときのYとZの関係
一気に:一度に
問1 ①「その単語」とあるが、どんな単語か。
1 会話をするとき相手が何度も使う単語
2 翻訳するとき何度も出てくる単語
3 本を読んでいるときに出てくるわからない単語
4 意味はあるていどわかるが、調べたことがない単語
問2 ②「それ」とあるが、どういうことか。
1 理解できない単語をすぐ調べること
2 外国語を学ぶときに翻訳すること
3 理解できない単語をすぐ調べないこと
4 会話をするさいに頭の中で翻訳しないこと
問3 ③「復習のチャンスを四回もなくしたことになります」とあるが、ここではどんな意味か。
1 知らない単語を覚えなかったので復習のチャンスをなくしたという意味
2 知らない単語をすぐ調べなかったので復習のチャンスをなくしたという意味
3 知らない単語を覚えるための復習をしなかったという意味
4 知らない単語をすぐ調べたので復習をしなかったという意味
問4 ④「平らな時期」とあるが、どんな時間か。
1 勉強すればするほど進歩が感じられる時期
2 勉強しても成果が身についたと感じられない時期
3 勉強を始めて単語が身についていくと感じられる時期
4 勉強が向いていないと気づかない時期
問5 (⑤)にはいる最も適当な言葉はどれか。
1 それが
2 これに対して
3 それとも
4 同じように
正解:3 3 2 2