● やってみよう-2
学生時代には時間があり余ってどう暇をうぶそうかと悩むこともあるでしょうから、時間はあり余っていると思う人もいるかもしれません。でも人生80年とすると、一生は70万時間しかないということになります。天地悠々の時間の流れの中で、この世に生を受けてからの70万時間というのは、ほんの一瞬のことでしょう。その限られた70万時間を使ってどういう人生をまっとうするかということ、これは私たち一人一人にとって大問題です。私たちは、この70万時間の使い方をめぐって、人性いかに生くべきかと悩むのです。
なぜ悩むのでしょうか。それは私たちに無限の生命が与えられていないからです。もし私たちが永遠の青春を楽しむことができるのであれば、人生は何度でもやり直しが聞きますので、いかに生くべきかといったことはもんだいにもならないでしょう。思い通り好きなように生きて、間違えればやり直せばよいということになります。しかし、(1)。
問い (1)には、次のどの文が入るか。
1、 現実には、思い通り好きなように生きるだけのお金を、誰もが持っているわけではありません
2、 現実には人は病気になったり、事故で早く死んでしまうこともあるわけです。短い人生を自由に生きたいのは当然です
3、 現実には時間は限られていますの、一度しかない人生、大切に考えなければ、ということになるわけです。
4、 現実にはやり直すことができず、失敗ばかり続くのが多くの人にとっての人生だと言えるでしょう。
練習1
「話してもわからない」ということを大学で痛感した例があります。イギリスのBBC放送が制作した、ある夫婦の妊娠から出産までを詳細に追ったドキュメンタリー番組を、北里大学薬学部の学生に見せた時のことです。
薬学部とういのは、女子が6割強と、女子のほうが多い。そういう場で、この番組の感想を学生に求めた結果が、非常に面白かった。男子学生と女子学生とで、はっきり異となる反応が出たのです。
ビデオを見た女子学生のほとんど「大変勉強になりました。新しい発見が沢山ありました」という感想でした。一方、それに対して、男子学生は皆一様に「こんなことは既に保健の授業で知っているようなことばかりだ」という答え。同じものを見ても正反対といってもよいくらいの違いが出てきたのです。
これは一体どういうことなのでしょうか。同じ大学学部ですから、少なくとも偏差値的な知的レベルに男女差は無い。だとしたら、どこからこの違いが生じるのか。
その答えは、与えられた情報に対する姿勢の問題だ、ということです。要するに、男というものは「出産」ということについて実感を持ちたくない。だから同じビデオを見ても、自分が知りたくないことには(1)ということです。
つまり、自分が知りたくないことについては自主的に情報を遮断してしまっている。ここに壁が存在しています。これも一種の「バカの壁」です。
(養老孟司『バカの壁』新潮選書による)
問い (1)には、次のどの文が入るか。
1、女子のような感動ができなかった、むしろ退屈なビデオだったと思った
2、女子のような発見ができなかった、むしろ積極的に発見をしようとしなかった
3、女子のような勉強はできなかった、むしろ男子だけで授業を聞いているほうがいい
4、女子のような実感はできなかった、むしろ出産だからと真剣に見ていなかった
練習2
十数年の間、音沙汰のなかった知り合いが、突然、電話をかけて来たりすると、一瞬、私は身構える。その電話が、単に、懐かしいからとか、励ましてあげたいからという心優しい単純さによってかけられたのではないことが解ってしまうからだ。ある時は、私に出来る筈もない仕事の依頼であったり、またある時は、何かの会を発足させるために名前を貸してくれという申し出であったりする。そのたびに、私は困惑する。私は十二年間、小説を書いて生計を立ててる。私に出来るのは、原稿用紙に字を書き綴ることだけだが、それは、ある種の人々には誤解を与えている。書く人は話も出来ると思っているのか、講演などを頼んだりする。私の小説にしか意味を持たない名前が、有効活用できると思う人もいるのを知ると、気恥ずかしさのあまりに頬が熱くなって来る。そういう人々は、たいてい、御活躍、拝見していますよ。と言うことになっている。拝見ったって、私の本の表紙でも見るのだろうか。本当にそれを伝えたいのなら、十二年、間を置くこともない。と、思っていると、別の用件を切り出す。やっぱりね、とこちらが思っているのには気がつかないようだ。しかし、こういう解りやすい理由で電話をかけてくる人々には、こちらも解りやすい対処の仕様がある。
(山田詠美『4U ヨンユー』による)
問い 「こういう解いやすい理由で電話をかけてくる人々には、こちらも解りやすい対処の仕様がある。」とあるが、どのように対処するのか。
1、名前を貸してあげる 2、講演を引き受ける
3、解りやすく返事をする 4、頼まれたことを断る
練習3
少年がその男と出会ったのは春の暖かい日だった。
都会に住む少年は、待ちかねた春休みの最初の日、仲のいい二人の友達とダム湖にお釣りにやってきたのだ。
そのダム湖には大きなブラックバスと、ブルーギルという力の強い外国産の魚がいた。
少年たちは期待に胸をふくらませ、静かな湖面に長い竿を振った。
その時、男が湖からやってきたのだ。
男はいつものように、犬をカヌーに仱护啤⒑颏铯郡盲皮俊%单啷楗い韦瑜Δ?ruby>口髭をはやし、カヌーの上で背中をぴんとのばして、遠くから少年たちの竿の先を少し眺めていた。
「どうだ。釣れるか?」
やがて男が言った。
「まだだめだ。はじめたばかりだから……」
「一回りしてくる。その間もし何か釣れていたら、もっといいポイントを教えてあげよう」
男はなんだか少し不思議なことを言って湖の沖に消えていった。
男が一回りしてくる間に、少年たちは二匹のブラックバスを釣った。小形だったが、いかにも肉食魚らしい獰猛な引きだった。
少年たちが二匹の獲物を誇らしげに見せたので、男は嬉しそうに笑った。
「そうか。君たちはここにやってくる大人の釣り師たちよりも腕がいいぞ。そこはこのあたりで一番つれないところなんだ。それじゃあもっと沢山釣れるところへ案内してやろう。この船にのりな」
男の仱盲皮い毳圣钎%ⅴ?#12539;カヌーは大人が五人らくにのれるものだった。
ともに座っている犬が立ち上がり「うっ」とひくい声で唸った。
「しずかにしてろ」
男が言った。犬はまた腹這いにすわり、黙って用心深く少年たちを見つめた。
「この犬は大丈夫だ。あとで釣ったブラックバスを一匹プレゼントしてくれれば大の仲良しになれるよ。」
少年たちは互いに顔を見合わせ、それから(1)。
(『少年の夏』新潮文庫による)
問い 少年たちはどうするか。(1)に入る文を選べ。
1、釣ったブラックバスを犬にやった 2、犬の代わりにカヌーに仱贽zんだ
3、こわごわとカヌーに仱贽zんだ 4、魚を置いて逃げていってしまった