Nが比較の基準となり、あるものがどの程度のものであるかを示します。使
われる文型によって意味合いが少し違います。
「Nと同じぐらい」の意味で、そう言い換えられる場合。比較の文型につな
がる言い方で、形容詞文や様子を表す動詞文の場合、「だ?です」が続く場合、
「NぐらいのN」の場合です。「Aぐらい~Bはない」の形で、「Aがいちば
ん~」を表します。
これ(と同じ)くらい重いです。
休みの日と同じぐらい暇です。
大雨の日の川(と同じ)ぐらい濁っています。
私の犬も、大きさはこれ(と同じ)ぐらいです。
あなたのぐらいの車が欲しいですね。
ここはちょうど野球場ぐらいの広さがあります。
あれぐらいの大きさで、赤いカバンはありませんか。
彼女くらい頭のいい人はいない。(彼女がいちばん頭がいい)
あの人ぐらい勉強すれば、何でもわかるでしょう。
指示語の「-れ」「-の」の両方に付けられます。副助詞はふつう「-れ」
に付くので、この点は例外的です。
長さはこのくらいです。
どのくらい どれくらい (×どのだけ、×どのほど)
動詞文の補語に付く場合、「最低限」という意味合いがあります。特に、可
能を表す述語の場合、その名詞に対する低い評価があります。
私だって新聞ぐらい読みますよ。(難しいものは読まないが)
休みの日でも、警備員ぐらいいるでしょう。(いるはずの人間として
最低限警備員は。職業に対する評価ではありません。念のため。)
彼にぐらい知らせておいたら。(少なくとも彼には知らせるべき)
日曜日ぐらい家にいてよ。(外の日はともかく:妻が夫に)
お茶ぐらい出しなさいよ。(食べ物はいいから)
この問題ぐらい、私にもできますよ。(やさしい問題)
ひらがなくらい読めるでしょう。
ちょっとぐらい待てないの。(長く待てとは言わないけれど)
以上の例は「Nだけは」と言うこともできます。
私だって新聞だけは読みますよ。(外のものは読まない)
彼にだけは知らせておいたら。(他の人はいいけど)
けれども、やはり意味合いの違いははっきりあります。「だけ」は特にそれ
を取り立てていますが、「ぐらい」は、当然のこととして軽く言っています。
次の例はちょっと特別です。
できたのは彼女ぐらいだ。(彼女だけだ)
この例は、いわゆる「強?!-- NAPS variable 構文」ではありません。「×彼女ぐらいができた」
という形にはなりませんから。「~ぐらいのものだ」という形もあります。
?undefined -->文の中の例を一つ。
これぐらいやっておけば大丈夫だろう。
これだけやっておけば大丈夫だろう。
それぞれ単文として独立させると意味が違います。
これぐらいやっておこう。
これだけやっておこう。
「ぐらい」のほうは、最低限、という軽い気持か、あるいは、目の前にある量
があって、だいたいそれと同じぐらい、という場合です。「だけ」のほうは、
他のものはやらずに、という限定の気持です。
複文になると、「だけ」のほうが二つの意味になります。限定の意味と、け
っこう大した分量をやった、だから大丈夫だ、という意味にもなります。
[数量+ぐらい]
「ぐらい」が数量につく場合は、「だいたい」の意味になります。
今から1時間ぐらいかかります。
長さが10mぐらいあります。
街頭で何かの募金を頼まれたとき、
百円ぐらい出さないと、みっともないかな。
と言うと、「最低限」および「百円」にたいする低い評価を感じますが、
百円ぐらい出せばいいかな。
と言うと、「だいたい」の感じでしょうか。
動詞を受けて節になる場合は「53.1 程度」を見て下さい。
Nほど:程度
程度を表し、形容詞文で多く使われます。単文では「N+ほど」は否定とと
もに使われるのがふつうです。比較の構文の否定の形です。(→ 17.1)
今日は昨日ほど暑くないです。(×今日は昨日ほど暑い)
中国語は英語ほど上手ではありません。
今年は去年ほど事件がありませんでした。
日本酒はビールほど飲みません。(ビールを)
「Nに」には付きにくいようで、あまり自然な言い方とは言えません。
母は私には弟にほどやさしくありませんでした。
指示語の「-れ」の形に付きます。(「このほど」は別の意味)
私のカバンはこれほど重くないです。
「それほど」は「それ」が具体的なものを指さず、「そんなに」の意味になる
場合がよくあります。