021 ~落とす/~漏らす
動詞:[ます]形 + 落とす
漏らす
【会話】
李 :大きな魚をとり逃したんだって?
山田:詰めが甘かったと言おうか、何と言おうか、契約までもう一歩のところまで行っていたんだが。あ~あ、土壇場で敵の大将を討ち漏らした武将の心境だよ。
李 :くよくよしてても仕方がないだろ。元気を出せよ。
山田:ああ、でも、逃げた魚は大きく見えるなあ。
【解説】
「落とす」は「撃ち落とす・切り落とす・突き落とす…」など、「上から下へ落とす」のように原義に近いものや、「攻め落とす・泣き落とす・口説き落とす・競り落とす…」のように攻略して目的を達する意味の複合動詞も作ります。文法上大切なのはここで取り上げた「~するのを忘れてしまう」という意味を表す用法でしょう。この場合「~もらす」も同じように使えますが、「うっかり(不注意で)~し落とす」「注意していたのに~しもらす」と語感の違いがあります。
なお、「~損なう/~損ねる/~誤る」(→文型125)との意味の違いに注意しましょう。→例題1)
【例文】
1.報告書は読み落としがないように、細部まで注意せよ。
2.君の意見は、問題の本質を見落としているよ。
3.入学願書に、大事な記載事項を書き漏らしてしまった。
4.そのことについては記憶がないんですが、聞き漏らしていたのかもしれません。
5.押して駄目なら引いてみな。それでも駄目なら、もう彼を口説き落とす手は、泣き落とし作戦しかないね。
【例題】
1) 四者択一の問題は、答えを(書く/書き)さえすれば、四分の一の可能性があるのだから、書き(損なわない/漏らさない)(ように/ことに)しなさい。
2) 試験場では受験番号の(書く→ )落としが(ある→ )よう、(注意する→ )なさい。
【前課の解答】
1) この/恐れ/ないから(文末が意志表現の時、「ので・て」は不可)
2) 押さえ(→文型094)/込もう(→文型441)/悪化させる(使役)