●四角な座敷(ざしき)を丸く掃(は)く
こまかいところまで注意を配らず、いいかげんな仕事をすること。
●鹿(しか)を逐(お)う者は山を見ず
一つのことに夢中になっている者は、ほかのことを顧(かえり)みない。目先の利益を得ることに夢中になっている者はまわりの事情に気づかない。
●地獄(じごく)で仏
とても困っているときに、思いがけない援助(えんじょ)があること。
●しし喰った報(むく)い
悪事をしたために受けなければならない報(むく)い。よい思いをしたからには、困ることが起きてもあたりまえだということ。
●獅子(しし)身中の虫
内部から災(わざわ)いを起こすもの。味方でありながら味方を害するもの。
●事実は小説よりも奇なり
事実は作りごとの小説よりもかえって奇妙で不思議なものだ。
●私淑(ししゅく)
尊敬する人が過去の人だったり遠方の人であるため、直接には教えを受けられないが、その著書などによって間接にその人を模範(もはん)として慕い学ぶこと。
●児孫(じそん)のために美田を買わず
良い田を買って子孫のために財産を残しても本人たちのためにはならないから、あえてそのようなことはしない。
●親しき仲にも礼儀あり
どんなに親しい友達どうしでも、相手に対する礼儀を欠いてはならない。
●舌(した)を巻(ま)く
とても感心したり驚いて口がきけない様子。
●疾風(しっぷう)に勁草(けいそう)を知る
はげしい風の吹くことによってはじめて、風にも折れぬ強い草が見分けられる。苦難や事変に遭遇(そうぐう)してはじめて、その人の意志や節操(せっそう)の強固さがわかるというたとえ。逆境(ぎゃっきょう)にあってはじめてその人の真価がわかる。
●雌伏(しふく)
将来活躍する日を期しながら、人の下に屈従(くつじゅう)していること。
●釈迦(しゃか)に説法
知り尽くしている人になまかじりの教えを説く愚(おろ)かさを言う。 類:猿に木登り
●蛇(じゃ)の道はへび
同じ仲間のやったことならすぐわかる。ヘビの通った道が他のヘビにはよくわかるように、仲間の者がやることは、すぐに推察(すいさつ)できる。
●弱冠(じゃっかん)
男の二十歳。転じて、広く年が若いことをいう。昔、男は二十歳を「弱」といい、元服して冠(かんむり)をかぶったのでいう。「若冠」と書くのは誤り。
●柔(じゅう)よく剛(ごう)を制す
弱い者がかえって強い者を負かすこと。しなやかなものは弱そうに見えてもかたいものの鋭い鉾先(ほこさき)をうまくそらして最後には勝ちを得るものだ。 類:柳に雪折れなし
●重箱の隅(すみ)を楊枝(ようじ)でほじくる
非常に細かいことまでせんさくし、あれこれうるさく言う。
●雌雄(しゆう)を決す
勝敗を決める。
●朱に交われば赤くなる
朱色のものに交われば、自分もやがて赤色になる。人はつきあう友達によって良くもなり悪くもなる。
●春秋(しゅんじゅう)に富む
年が若いこと。将来が長いこと。
●春宵一刻値千金(しゅんしょういっこくあたいせんきん)
春の夜はとてもよいもので、わずかな時間が一千金にも値する。
●春眠(しゅんみん)暁(あかつき)を覚えず
春の夜は寝心地(ねごこち)がよく、夜明けも知らずつい眠りつづけてしまう。
●正直の頭(こうべ)に神宿る
正直な人には常に神仏(しんぶつ)の加護(かご)がある。類:神は正直の頭に宿る・正直者に神宿る
●上手(じょうず)の手から水が漏(も)る
上手な人でも時には失敗することがある。
●少年老い易(やす)く学成り難し
月日がたつのは早く、若いと思っていてもすぐ年を取ってしまい、学問はなかなか成就(じょうじゅ)しにくい。だからわずかな時間でも惜(お)しんで勉強しなければならない。
●将を射(い)んとせばまず馬を射(い)よ
目的物を得るには、その周囲にあるものから攻めるのが早道である。
●初心忘るべからず
ものごとを始めたときの、まじめな気持を忘れてはならない。
●助長(じょちょう)
いらぬ力添えをして、かえって害すること。
宋国の人が稲の苗(なえ)の成長を早めようとして、その穂先(ほさき)を引っ張り、かえって枯らしてしまった話。
●知らぬが仏
知ればこそ腹も立つが、知らなければ心が仏のように穏(おだ)やかでわだかまりもない。当人だけが事件や真相を知らずにのんきに構えているのをあざけっていう場合にも使う。
●しり馬に乗る
よく考えないで、人の後について物事を言う。
●尻(しり)に目薬
見当違いなこと。全く効き目のないこと。
●人間(じんかん)到る所青山(せいざん)あり
「人間」は「人」ではなく「世間・世の中」、「青山」は「木の繁(しげ)った山」でなく「骨を埋(う)める土地・墓場」のこと。つまり、世の中にはどこにでも骨を埋める土地はあるから、大きな志をもつ者は故郷を離れて活躍(かつやく)せよ、という意味。
●沈香(じんこう)も焚(た)かず屁(へ)もひらず
香を焚(た)くほど風流で魅力的でもなく、おならをして人に嫌(きら)われるでもない。特に役に立つこともないが害にもならぬ、平々凡々(へいへいぼんぼん)な状態。可もなく不可もないというタイプの人。
●人後に落つ
人の後ろに下がること。人に負ける。他人より劣(おと)る意。
●人事を尽くして天命を待つ
力の限りやるだけのことをやったら、後の結果は天命にまかせるということ。
●死んだ子の年を数える
いまさら言っても仕方のない過去のことをあれこれ言うこと。
●心頭を滅却(めっきゃく)すれば火もまた涼(すず)し
よけいなことを考えたり、迷(まよ)ったりする心を捨てれば、火さえもすずしく感じられる。