頑固な気象予報官
昔、気象庁にこんな予報官がいたそうだ。彼は当番の日に、「翌日は快晴」の予報を出て寝た。ところが、朝起きてみると、どじゃ降りの雨である。彼は雨を見ながら、「天気によれば絶対に雨は降らない。降っているこの雨のほうがまちがっている!」といっという。まさに笑い話である。
しかし、わたしは、この話が好きだ。①笑いとばしてしまえないものを感ずる。
天気図を一生懸命調べた結果、雨は降らないと確信した。ところが、実際には雨が降りている。だとすれば、 [ a ] がまちがったのであるが、それを「 [ b ] がまちがっている」と言うところがいい。そういう頑固さもあっていいのだと思う。
いや、気象学においては、そういう頑固さはお笑い種かもしれない。しかし、仏教に関してであれば、(②)と思う。
たとえば、仏教の教えは、「競争をやめよ!」である。競争、競争と、血眼になって競争意識ばかり燃やしていると、わたしたちに心の余裕がなくなり、エゴイストになってしまう。競争をやめて、仲良く生きるのが、人間としてほんとうの生き方である。だが、そのようなことを言えば、必ずといってよいほど反論がある。あなたはそんな気楽なことを言うが、現実は厳しいのだ。その現実をどうする!?......といった反論である。
そんなとき、「その [ c ] がまちがっているのです」と、わたしは言いたい。何も現実に妥協するばかりが能じゃないとわたしは思うが、おかしいであろうか......。
新出单词
予報官 (よほうかん) 预报官
どしゃ降り (どしゃぶり) 倾盆大雨
笑い飛ばす (わらいとばす) 一笑了之,光笑而不认真对待
確信 (かくしん) 确信
頑固 (がんこ) 顽固地
笑い種 (わらいぐさ) 笑柄
血眼になる (ちまなこになる) 眼红,拼命
エゴイスト 利己主义者,自私自利的人
反論 (はんろん) 反驳
気楽 (きらく) 舒畅,舒适,无顾虑
妥協 (だきょう) 妥协
問1.① 「笑いとばしてしまえないものを感ずる」とは、どういうことか。
1)この天気予報はまじめなものだと思う。
2)別か別の意味があるように感じる。
3)おもしろい話だが頑固さも感じられる。
4)天気予報は正しくて雨のほうがまちがっているように思う。
問2.a、b、c に入る言葉の適当な組み合わせはどれか。
1)a 予報 b 天気図 c 現実
2)a 天気図 b 雨 c 競争
3)a 予報 b 雨 c 現実
4)a 雨 b 予報 c 競争
問3.( ② )に入る適当なものはどれか。
1)われわれは競争をやめるべきだ
2)むしろわれわれは頑固であるべきだ
3)やはり仏の教えに従うべきだ
4)われわれは心に余裕をもつべきだ
問4.筆者が良いと考える「頑固さ」について、正しいものはどれか。
1)簡単には現実に妥協しない頑固さ
2)厳しい現実の中でがんばる頑固さ
3)競争を絶対にしないようにする頑固さ
4)反論に負けないでがんばる頑固さ
■答案■
2 3 2 1