巨大地震と津波による被害から6日目を迎えた南米チリでは、政府による配給の遅れから深刻な水不足が続く一方、略奪や放火が相次ぐなど、依然として混乱が続いています。
先月27日にチリで発生した巨大地震と津波では、これまでに802人の死亡が確認されていますが、安否の確認ができていない人も多く、依然として被害の全容は明らかになっていません。また、軍による水や食糧などの配給が行われていますが、被災者には十分に行き渡らない状況が続いています。このうち、震源から100キロ余りにある地域の中心都市コンセプシオンでは、政府による水の配給が十分行われず、水不足が深刻化しています。このため、消火栓が各地でこじ開けられ、多くの被災者が容器を持って殺到しています。被災者の1人は「給水車で配給される水ではとても足りない」と窮状を訴えていました。また、スーパーや商店では火災が相次いでおり、現地の消防は何者かが商品を略奪したあと、証拠隠滅の目的で火を放っているとみています。被災から6日目を迎えても依然として混乱が続いていることから、チリ政府は被害の大きかった地域に引き続き夜間外出禁止令を出すとともに、日中もあわせておよそ1万人の軍の部隊を派遣して警備を強めています。しかし、物資の不足が続いているうえ、略奪などの混乱も収まらず、政府に対する被災者の不満が高まっています。