久平(きゅうへい)という,臆病(おくびょう)な武士(ぶし)がおりました。
ある日,殿様(とのさま)の命令で,馬の遠乗り(とおのり)のお供(とも)をすることになりました。命令とあっては仕方なく,怖いのを我慢して,馬に乗りますと,急に馬が走り出してしまいました。
久平は必死(ひっし)になって馬にしがみついていますと,向こうから知り合いの武士がやってきて,声をかけました。
「やあ,久平どの,どちらへお出かけです?」
すると,久平は,
「されば,この分では,どちらへゆくのやら。行く先(ゆくさき)は,馬に聞いてくだされ。」
译文对照:
从前,有个叫久平的胆小武士。
有一天,奉主人之命,久平要陪同主人骑马远游。主人的命令必须服从,没办法,久平只好忍住内心的恐惧骑上了马。刚一上去,那马突然就跑了起来。
久平拼命地死死抱住马背。正在这时,从对面来了一个跟他认识的武士,向他打招呼说:
“喂,久平,你这是要去哪儿呀?”
“啊,照眼下这样子,谁知道要去哪儿啊。目的地是哪儿,你还是问问马吧。”