テレビと新聞
ニュースは、新聞だけではなくテレビで知ることもできます。
じゃあ、新聞なんか読まなくても、テレビを見ればいいじゃないか。そのほうが楽だし早いじゃないか。そんなふうに考える人もいるかもしれません。でもやはり、ぼくは新聞読んでほしいと思います。新聞には、テレビにないよさがあると思うからです。
テレビというのは、映像と音が組み合わさっています。見る側は、目とか耳とかの感覚を働かせることになります。テレビの前に座っていると、感覚に訴える要素が次々にあらわれ、次々に消え、移っていくわけです。①これはテレビの特色ですが、同時に欠陥でもあります。
ときどきこちらが考えさせられるようなことを言ったり、興味深い画像が出てきたりしますが、あっと思ったらもう次に移ってしまい、よほど印象深いもの以外は思い出しません。
それに対して新聞、(②)活字の場合は、立ち止まって考えることができます。それだけではなく、さらに③その先へ考えを進めることができる。想像を広げたり、新しい着想を得たりということが可能なのです。
映像から得る感覚的な刺激は、その場だけで終わってしまうことが多いのですが、活字の場合は、新しい何かを付け加えたり、まったく違うものを作り出したりということがしやすいのです。
(吉本 隆明『13歳は二度あるかー「現代を生きる自分」を考える』大和書房)
映像:映画やテレビなどに映し出されたものの形やすがた
組み合わさる:二つ以上のものが合わせてある
画像:テレビに映し出されたものの形やすがた
着想:仕事や計画などを行うときの考え、アイデア
創り出す:新しいものを生み出す
問題
問1 ①「これはテレビの特色ですが、同時に欠陥でもあります」とあるが、なぜ欠陥なのか。
1 見る側は、目とか耳とかの感覚を働かせなければならないから。
2 とこどきこちらが考えさせられることを言うから。
3 興味深いものでもすぐ次に移ってしまい、忘れることが多いから。
4 見る側が印象深いものだけ思い出そうとするから。
問2 (②)に入る最も適当な言葉はどれか。
1 それとも
2 だから
3 しかし
4 つまり
問3 ③「その先へ考えを進めることができる」とあるが、だれができるのか。
1 新聞を読む人たち
2 新聞を作る人たち
3 活字を使う人たち
4 テレビを見る人たち
問4 この文章の内容と合っているものはどれか。
1 ニュースを知るには、新聞より早くて楽なテレビのほうがよい。
2 ニュースは新聞だけではなくテレビで知ることもできるので、どちらも見るべきだ。
3 立ち止まって考えることができる新聞には、すぐに消えてしまうテレビにはないよさがある。
4 新聞より、感覚に訴える要素が多いテレビのニュースのほうがよくわかる。