中国検索サイト大手の百度が、わずか数分間の会議で一つの部門を閉鎖し、その所属従業員を全員解雇するという、大胆な人員削減を行った。冷静で控え目といわれている李彦宏?CEO(最高経営責任者)が行った過激な軌道修正は、関係者の間で波紋を呼んでいる。
解雇された百度の元従業員は、突然起こった人員削減事件の経緯を、ネット上に怒りを交えて書き綴っていた。それによると、北京市、上海市、広東省?深セン市にある百度の企業ソフトウェア事業部の全従業員が、10日の午後2時に各オフィスの会議室に一斉に呼び出され、何の前置きもなく解雇通告が言いわたされたという。
「何の事前説明もなかった」「理解できない」。従業員たちは驚きを隠せなかったが、この頃にはすでに彼らのメールアカウントも抹消されており、解雇に関する事務処理もすでに進められていたという。
今回の人員削減について百度側は、12日に声明を発表。企業ソフトウェア事業は同社の中心業務である検索サービスから外れており、実績も思わしくなかったので、この分野から撤退せざるを得なかったとしている。百度の関係者は、「これは正常な企業戦略であり、全国で20数名しかいない事業部を解散しただけだ」と述べているが、解雇された元従業員らは、「経営陣が犯したミスの責任を、一般の従業員に押し付けた」と激怒している。
中国の 検索サイトでトップの地位にある 百度は、広告収入、有料リスティングサービス、企業ソフトウェアの3事業が柱とされているが、実際は有料リスティングサービスの収入が全体の約9割を占めている。企業ソフトウェア部門は主に企業向けに検索情報を提供していた。
百度は13日に年次式典を開催したが、李彦宏がなぜこの直前を選んで、物議をかもすような手段で軌道修正を行ったのかは、依然として謎のままである。