問:
高校『日語』第3冊の実力テスト(一)の中に「先生は来週の火曜日まで学校に来ません」と一番意味の近い答を選ぶ問題があります。正しい答は「来週の火曜日に来る」となっていますが、よくわかりません。どうしてでしょうか。
答:
これは、(a)「火曜日に来る」場合と(b)「水曜日に来る」場合が考えられます。上記の問題の場合は、選択肢に「水曜日に来る」に相当する文がないので、正しい答は「火曜日に来る」ということになります。これは、「XマデP(継続を表す述語)」における「マデ」の持つ曖昧さからくる問題といえます。
しかし、次のような文だと少しはっきりします。
(1) 林さんは5時まで来ません。
この場合は、「Xマデ」の「X」は「5時」という「点」を表しています。つまり、瞬間時に「来ない」状況と「来る」状況が生まれます。「5時」はその境界を表しており、ここでは「5時に来る」という解釈が成り立ちます。
教科書の場合は、火曜日、つまり一日という幅の中でのできごとです。「XマデP」の「X」は「非瞬間時」を表しています。火曜日は「来ない」の終点でもあり、「来る」の起点でもあります。ですから、上記の(a)(b)二つの解釈が考えられるのです。
次の文はどうでしょうか。
(2) このエレベーターは10階まで止まりません。
(3)生ゴミは7日まで出せません。
(2)は「XマデP」の「X」が瞬間的ですから、エレベーターが10階まで止まらずに行き、10階で止まることを表しています。③は「X」の部分が非瞬間時を表していますから、「7日にゴミが出せる」状況と「8日にゴミが出せる」状況の二つの解釈が成り立ちます。
また、「XマデP」の「P」部分が肯定的な文の場合は、それほど問題ではありません。
(4)生ゴミは7日まで出せます。
(7日がゴミを出せる最終日を表している。)
(5)林さんは来週の水曜日まで休みます。
(水曜日が休む最終日を表している。)
「XマデP」の「マデ」が曖昧になるのは、Xが「非瞬間時」であり、「P」の部分が否定をともなう文の場合です。しかし、実際には曖昧な表現でも、前後の文脈から意味が明らかになる場合が見られます。
(6)(陳先生が不在だと聞いて)
「陳先生は、いつ学校にいらっしゃいますか」
(c)「そうですね…、火曜日に授業がありますから、来週の火曜日まで来ません」
(d)「陳先生は来週の火曜日まで来ません。火曜日まで北京で会議がありますから」 文脈から判断すると、(c)は「火曜日に来る」ことを表し、(d)は「水曜日に来る」ことを表します。
日本語社会で育った人でも「来週の火曜日まで学校に来ません」と聞いただけでは、その人の持つ語感によって「火曜日に来る」と判断したり、「水曜日に来る」と判断したりするケースが見られます。ですから、日常生活では、誤解や混乱を避けるために、わかりやすい表現を使うことが大切です。たとえば、「来週の月曜日まで休みますから、火曜日には学校に来ます」などです。