【 あ行 】
●愛多ければ憎(にく)しみ至(いた)る
人から愛されかわいがられることが多ければ、必ず人から憎まれるようになる。
●挨拶(あいさつ)は時の氏神(うじがみ)
ここでの「挨拶」は仲裁(ちゅうさい)の意。けんかや争いの仲裁を買って出てくれる人は、その場にとって氏神さまのようにありがたい存在である。 類:仲裁は時の氏神
●相手変われど主(ぬし)変わらず
相手は次々に変わっても、こちらはいつも変わらず、同じことを何度も繰り返すこと。
●青菜(あおな)に塩
急に元気をなくして、しょんぼりするようす。
●青は藍(あい)より出(い)でて藍より青し
教えを受けた弟子(でし)が先生よりもすぐれた人になるたとえ。青色の染料(せんりょう)は藍という草の葉から取ったものだが、もとの藍の葉よりも美しい色をしている、という意。「出藍(しゅつらん)の誉(ほま)れ」という語は、これに基づく。
●空き樽(だる)は音が高い
よくしゃべる人には考えの浅(あさ)い人が多いたとえ。中味のないからっぽの樽をたたくと高い音をたてることからいう。類:浅瀬に仇波
●商(あきな)いは牛のよだれ
商売は牛のよだれのように、細く長く、わずかな利益を積み重ねていくべきだ。
●秋茄子(あきなす)は嫁(よめ)に食わすな
有名なことわざで、色々な意味が言われている。ナスはとても美味(おい)しいので嫁には食べさせない、という意味や秋ナスは種が無いので嫁に子供が出来ないことを気づかう、という意味など。でも本命(ほんめい)は、ナスは体を冷やすので食べ過ぎると良くないという意味。
●秋の扇(おうぎ)
愛情が薄らいで捨てられた女性のたとえ。夏の間、大切にされた扇も、涼(すず)しい秋が来ると片づけられて顧(かえり)みられなくなる意。
●秋の日は釣瓶(つるべ)落とし
秋はすぐに日が落ちて暗くなることを井戸(いど)のツルベにたとえていった言葉。ツルベとは井戸で水をくむときに使う、ひものついたバケツのこと。
●悪事千里を走る
悪いうわさはたちまちの間に遠くまで知れ渡(わた)るということ。
●悪女の深情け
醜(みにく)い女は美しい女に比べて愛情や嫉妬(しっと)心が強い。転じて、ありがた迷惑(めいわく)。
●悪銭(あくせん)身につかず
不正な手段で得た金は、つまらないことに使ってしまうからすぐなくなる。
●浅い川も深く渡(わた)れ
浅い川であってもゆだんせず、用心して渡れ。何事も注意深くやれ。
●朝起きは三文の徳(とく)
朝早く起きると、人より先に仕事ができるから、何かとよいことがある。「早起きは三文の徳」とも言う。
●浅瀬(あさせ)に仇波(あだなみ)
浅瀬には波が立ち、深いところには波が立たない。考えが浅い者ほど、よくしゃべる。
●麻(あさ)の中の蓬(よもぎ)
麻はまっすぐに伸(の)びるから、曲がりやすいよもぎもその中に生えれば、自然にまっすぐ伸びるようになる。善良な友人と交われば、その感化で自然に善人になる。
●朝(あした)に夕べを謀(はか)らず
朝には夕刻のことまで考えない。長い先のことは考えない。
●足下(あしもと)から鳥が立つ
突然、身近なところに意外な事件が起こるたとえ。
●足下に火がつく
危険や災難(さいなん)が身に迫(せま)るたとえ。
●足下を見られる
弱点を見抜かれてつけ込まれる。弱みをにぎられる。
●明日の百より今日の五十
明日になればくれるという百文の銭(ぜに)より、今日くれる五十文のほうがありがたい。わずかであっても、差し迫(せま)っている今、もらうほうがよい。
●足を知らずして履(くつ)をつくる
人の足の大きさには大差ないので、いちいち足の大きさを知らなくてもくつを作ることはできる。同じ種類のものは性質も同じということ。
●仇花(あだばな)に実は成らぬ
雄花(おばな)に実は成らない。着実性を欠く計画は成功しない。見かけがよくても真の値打ちのないものは、立派(りっぱ)な成果を上げることはできない、という意。
●頭隠して尻(しり)隠(かく)さず
悪事や欠点を、自分では完全に隠したつもりでいても、その一部分が現れているのを知らないでいること。キジは、首を草むらの中に隠しさえすれば、尾が丸見えでも平気でいることからいう。
●頭の上の蝿(はえ)を追え
とかく人の世話をやきたいものだが、それよりもまず自分のことをしっかり始末せよということ。
●圧巻(あっかん)
書物や催(もよお)し物、あるいは広く物事などの中で、最もすぐれている部分をいう。
●暑さ寒さも彼岸(ひがん)まで
暑さも秋の彼岸になれば衰(おとろ)え、寒さも春の彼岸になれば薄(うす)らぎ、やがて穏(おだ)やかな気候になる。
●羹(あつもの)に懲(こ)りて膾(なます)を吹く
一度失敗したのに懲りて、用心しすぎるたとえ。あつものは肉や野菜を煮(に)た汁物(しるもの)。
●後足で砂を掛ける
世話になった人の恩を裏切るだけでなく、去りぎわにさらに迷惑(めいわく)をかけること。
●後の祭り
祭の済んだ翌日。時期が遅(おく)れてしまって、後悔(こうかい)しても間に合わない。時期を失すること、手遅れの意。
●後は野となれ山となれ
目の前のことさえ片づけば、後はどうなってもかまわない。
●痘痕(あばた)もえくぼ
自分が愛している者については、みにくいあばたもかわいいえくぼに見えるように、欠点でも美点に見えるものだ。類:惚れた欲目
●危ない橋を渡(わた)る
危険なやり方で仕事をすること。法律や規則に触(ふ)れるか触れないかのすれすれで事をなす場合などにいう。
●虻蜂(あぶはち)取らず
虻と蜂の両方を捕(つか)まえようとして、両方とも捕まえられない。二つの物を両方とも得ようとして、どちらも取り逃がすこと。欲張りすぎて損をする意。類:二兎を追う者は一兎をも得ず
●雨垂(あまだ)れ石を穿(うが)つ
軒(のき)から落ちる雨だれも、長い間には石に穴をあけることができる。どんなに弱いものでも根気よくやれば成功する。 類:念力岩をも通す
●油に水
たがいにしっくりしないこと。性質がちがうためにうまくとけあわないこと。
●雨降って地固まる
雨が降ったことによって地盤(じばん)が固まり、土地が固くなる。ごたごたが起こったことによって、かえってそのあとが安定した状態となってうまくいく。
●過(あやま)ちて改むるにはばかることなかれ
自分の間違いに気づいたら、躊躇(ちゅうちょ)することなくすぐに改めるほうがよい。
●蟻(あり)の穴から堤(つつみ)も崩(くず)れる
堅固(けんこ)な堤も、蟻があける小さな穴がもとで崩(くず)れる。ほんの小さな欠陥(けっかん)を見逃したために、取り返しのつかない結果となる。ごくわずかな手抜かりから大事が起こるたとえ。
●慌(あわ)てる乞食(こじき)は貰(もら)いが少ない
あわてることは失敗のもとである。
●アワビの片想い
アワビの貝殻(かいがら)は1枚だけに見えることから、片思いのことを言う。類:磯のあわびの片思い
●案ずるより生むが易し
あれこれ悩(なや)んで心配したことも、やってみたら案外と簡単にできる。