日本には多くのことわざがありますが、 ここではとくにお正月にまつわるものをご紹介します。 ひと足お先にお正月気分を味わって、 話のタネにしてみてはいかが?
■ ごまめの歯ぎしり
関東では田作りのことをごまめという。(ひしこ)の乾したもの。 田植えに際して、豊年を祈って祭りをするが、その時に用いるのが田作りである。
小さくても尾頭つきの魚を祝魚に用いる意である。
正月の祝膳にも、この祝魚を利用するのは、やはり豊年を期待する意を含んでいる。
田作りそのものは、上級魚ではないから、軽視することが多いのでそれに反論して立派な魚じゃないか、と弁護している言葉である。
田作りを田畑の肥料とし、それを用いて豊年をことほぐという解釈はあたらない。
■ 初の餅を食いたい
餅に初物というのもおかしいが、それでも人情として、初物は欲しい。
人間は何でも初物を望む意。
■ 餅がゆの節供
正月十五日に、餅と小豆を入れたかゆを作る。その一部を残しておき、十八日に食べておくと夏、毒虫にさされないといういいつたえがある。
■ 餅と酢は家に似る
その家の好みにより、特有の形や味ができあがるものである。
■ 餅は乞食に焼かせ 魚は大名に焼かせる
餅は何度も裏返して焼く方がいいが魚はそうしない方がいい。
そこで、せかせかしている乞食、ゆったりと構えている大名を対照的に出したのである。
また、茨城地方では「餅は大名に焼かせろ、豆は乞食に炒らせよ」という。
餅を焼くより、豆を炒るのはさらに忙しくしなければならないので、この言い方ができた。
■ 餅腹三日
餅腹七日ともいう。腹持ちのいいこと。
■ 餅は餡(あん)でかたくなる
他のものの影響で、物事が変わるたとえ。