ビジネス敬語
ビジネス敬語といってもやはり敬語ですから、先ず最低限身につけておかなければならないことがあります。その上にビジネス敬語の世界があります。特に顧客との会話における「内」と「外」の区別による敬語の使い分け、社内の地位の対応した敬語の使い分けが重要となってきます。
1、ビジネス会話は敬語体
(1)ビジネス&フォーマル会話とフレンドリー会話
丁寧語と敬語体会話がビジネス会話の基本です。ですから、日本語の敬語の使い方の基本が身に付いていなければ、そもそもビジネス会話はできません。この教材はそれらが身に付いている学習者を対象に書かれていますから、細かい敬語表現の使い方については説明を省略しています。自分の敬語の知識に不安がある方は、もう一度、この項を再復習してください。
★身内
家族や親しい友だちや同僚の間で交わされるフレンドリー会話の世界です。使われるのは口語普通体で、「ます・です」体も敬語も使われません。「ね/よ/わ」などの終助詞や、省略形が頻繁に使われます。
★内
学校や会社など所属集団内での会話です。そこでは集団の秩序を維持するための上下関係が存在しています。そのため、友だちや同僚の間で交わされるフレンドリー会話の世界と、先輩や上司や目上に対する「敬語&ます・です」体のフォーマル会話が混在する世界です。日本では先輩や上司にはフォーマル会話を使うと覚えておきましょう。
★外
「外」は「疎」とも言いますが、初めてあった人や、よく知らない人のように、疎遠な人に対しては、相手が子供の場合は別ですが、年齢や地位がどうかに関係なく、「敬語&ます・です体」のフォーマル体が使われます。
更に「ございます」体などの丁寧語を使うのが、顧客・お客に対するビジネス&フォーマル会話の世界です。
(2)動詞の敬語形と謙譲形
待ち[ます]→お待ちになる<尊敬形>
お待ちする<謙譲形>
お待ちください<依頼の尊敬形>
遠慮[する]→ご遠慮になる<尊敬形>
ご遠慮する<謙譲形>
ご遠慮ください<依頼の尊敬形>
(3)敬語動詞
普通尊敬謙譲
するなさるいたす
来るいらっしゃるまいる
おいでになる伺う
お見えになる
お越しになる
行くいらっしゃるまいる
おいでになる伺う
~てくる/ていく~ていらっしゃる~てまいる
いるいらっしゃるおる
おいでになる
~ている~ていらっしゃる~ておる
知っているご存じです存じ上げている
飲む/食べる召し上がるいただく
言うおっしゃる申す
見るご覧になる拝見する
~てみる~てご覧になる
着るお召しになる
訪ねる/尋ねる伺う
思う存じる
聞く伺う/承る/拝聴する
会うお目にかかる
借りる拝借する
見せるお目にかける
ご覧に入れる
わかる/引き受ける承知する/かしこまる
練習1お~する
(例)タクシーを呼ぶ
李:1)タクシーを(お/ご)呼びしましょう。
2)タクシーを(お/ご)呼びいたしましょう。
鈴木:すみません。お願いします。
(1)傘を貸す
(2)駅まで送る
(3)荷物を持つ
(4)手伝う
(5)住所を教える
(6)山田専務に連絡する
(7)この町を案内する
(8)もう一度、説明する
練習2お~になる
(例)山田専務と会う
鈴木:山田専務と(お/ご)会いになりましたか。
李:はい、(お/ご)会いしました。
(1)部長を駅まで送る
(2)先生に手紙を渡す
(3)社長に伝える
(4)教授をパーティに呼ぶ
(5)お客様を空港まで見送る
(6)会長に連絡する
(7)みなさんを別室に案内する
(8)校長にその件を質問する
練習3丁寧な依頼
(例)伝える→伝えていただけませんか
→お伝えいただけませんか
説明する→説明していただけませんか
→ご説明いただけませんか
(1)知らせる
(2)答える
(3)話す
(4)送る
(5)教える