商談の進め方
セールスの仕方、商談の進め方というのは千差万別で、一般化することは極めて困難ですが、ここでは基本となることを取り上げました。これは個々のビジネスマンの奥義に属することですから、実戦経験を積んで体得するしかありませんね。
1、セールスのこつ
(1)家庭訪問販売
李:ごめんください。
主婦:どちら様ですか。
李:お忙しいところを申し訳ございません。私、○○社の者で、この地域の販売を担当している△△と申します。
主婦:どんなご用件でしょうか。
李:実はそちら様ではお車の買い換えのご予定はないかと存じまして、・・・。
主婦:主人に聞いてみませんと、私にはちょっと・・・。
李:でしたら、パンフレットだけでもご覧いただけないでしょうか。
・・・(ドアを開ける)・・・
初めまして。私はこのような者です。・・・(名刺を渡す)・・・
こちらがそのパンフレットでございます。あのう、ほんの二、三分でけっこうなんですが、お時間いただけませんか。ただ今、お買い換えになられたお客様には、旧車の買い取りサービスもいたしておりまして、大変お得になっております。
(2)会社訪問販売
担当者:お待たせしてどうも申し訳ありませんでした。営業二課の佐藤です。早速ですが、今日わざわざお越しくださったのは、どのようなご用件で?
李:お忙しいところを突然お邪魔いたしまして、申し訳ありませんでした。私、○○社の者で、営業を担当している△△と申します。手短に申し上げますと、この度、弊社が開発いたしました新製品××××につきまして、商品のご案内にお伺いいたしました。こちらはそのパンフレットでございますが、・・・。
担当者:ちょっと拝見します。
李:この度の新製品は、他者のカラーコピー機と異なりまして、印刷の速度は二倍に向上しておりまして、・・・(商品の説明)・・・
常套表現と解説
・○○社の者で、この地域の販売を担当している△△と申します。
○○社の者で、営業を担当している△△と申します。
・ほんの二、三分でけっこうなんですが、お時間いただけませんか
手短に申し上げますと
外回りのセールスというのは、門前払いされることも多くあろうと思います。こちらから一方的に押し掛けているのですから、どうしたら商品の説明にまでこぎつけられるか、そこにはセールスマンの様々なノウハウが存在することでしょう。
ここでは、その基本である二点だけ取り上げます。第一は相手に不信感を抱かせないように、簡潔に自己紹介をすることで、その際、・のような言い方が多くなされています。次に、あらかじめ短時間で話が終わることをアピールしておくことが肝要で、話を聞いてもらうためのこつです。その際、使われるのが・のような言い方ですが、相手が興味を示すようなら、更に続けて商品の説明や売り込みをしてかまいません。
(3)効果的な話の展開法
<ケース1>
李:ところでご主人はどちらにお勤めですか。
主婦:主人は○○銀行に勤めております。
李:ああ、○○銀行さんですか。偶然ですねえ、○○銀行さんは当社の取引銀行なんですよ。
主婦:え?そうだったんですか。
李:これも何かのご縁ですねえ。
<ケース2>
李:つかぬことをお伺いしますが、お宅には息子さんがいらっしゃいますか。
主人:ええ、どうしておわかりですか。
李:はい、玄関先に男性用のマウンテンバイクが置いてありましたので、・・・。
主人:ええ、高校三年になる息子がおります。
李:そうでしたか。実は私も今大学一年になる息子がおりますが、受験のことでさんざん心配させられましたよ。
主人:ええ、うちの子はちっとも勉強しないので、手を焼いています。
李:お互い父親というのは息子のことでは苦労させられますねえ。
常套表現と解説
・ところでご主人はどちらにお勤めですか
つかぬことをお伺いしますが、・・・か
私事で恐縮ですが、実は私も・・・
・これも何かのご縁ですねえ
お互い父親というのは息子のことでは苦労させられますねえ
さて、セールスの時、もし相手が興味を示したら、プライベートな話題も取り入れると効果的で、そこから商品の販売に結びつけていくテクニックがあります。参考までに相手の気を引くプライベートな話題の切り出し方を紹介しておきました。突然、個人的な話を切り出すと相手も驚きますから、まず、・のような前置きを置いて話し始め、相手を話題に引き込みます。そのとき、相手の気を引いたり、共感を表したりするのが・のような言い方です。そして、更に相手側のいろいろな情報が聞き出しながら、それをセールスに結びつけていきます。