中国国家発展改革委員会中小企業司が8月3日に発布した統計結果によると、今年度に入ってから半年の間に6万7千社以上もの中小企業が倒産に追い込まれたという。労働集約的産業の代表格である紡績業界においては1万社以上の中小企業が破産し、その内3分の2の紡績会社は深刻な事態に陥っている。
表面的には中小企業が相次いで破産する原因は、資金繰りが上手く行かなくなったということだろう。誰もが知るように、銀行は中小企業相手の融資を渋り、どんなに上手い手を使ったとしても国有企業のそれに比べれば圧倒的に高い変動利率がついて回る。
資金は企業の経営と発展をつなぎ止める重要な要素である。特に資本集約的産業や労働集約的産業においては、資金不足は企業生命の終わりを意味する。そのため多くの企業は融資ルートの確保に必死である。通貨緊縮政策の影響もあるためか、一部の企業は闇の高利貸しを頼るまでになってしまった。
目下、中国の中小企業は主に民間企業であるため市場で淘汰されていく可能性は十分に備えている。銀行も、自らの身に降りかかるリスクを考慮すれば必然的に中小企業への融資は渋りがちになるのも無理はない。中小企業を倒産の危機から救うため、関連の政策を講じ、銀行からの融資を容易にしたとしても、その利率は相変わらずである。このような公平さを欠く市場競争の中で、中小企業はどうしても下火になりがちで、一気に倒産へと追い込まれてしまうのだ。
しかし中小企業破産の問題を更に深く掘り進めると、原因は資金繰りのみではないことに気づく。国有企業と比べ、中小企業の優れた点は現代的な組織体制、効率の高さ、企業の活力等である。利益を追求するのみの銀行だが、なぜ中小企業よりも国有企業に傾倒するような融資を行うのか?
それは国有企業への不公平な優待政策により、倒産の危機を克服する機会や経験を与えず、その結果高くなるばかりの倒産率に原因がある。
中国の経済システムは複雑であり、市場化された部分以外に市場経済とはほど遠い体制経済がある。体制経済とは国家権力が経済活動を主導し、国有企業がその権力層と結びつきやすく、有利に働くということがある。国有企業による市場の蚕食と中小企業の蹴落としは、多くの民間企業の生存を危うくしている。
国有企業への優待は、中小企業の競争力を貶めただけでなく、生存と発展の機会を奪っている。これが銀行の中小企業への悲観的な見方につながり、融資を渋る結果となっている。
中小企業の相次ぐ倒産を食い止めるには、国有企業への優待政策を取りやめ、公平、公正、透明な市場競争の環境を整えることではないか。
文:時寒氷上海証券報評論部編集