ジョーンズ氏:先週の土曜日の夜、車で丸ノ内のビジネス街を通ったのです。ビルの窓に、明かりのついているところが多いんですね。あのヘンリの企業は、土曜日は休日だと思うのですが、とするとずいぶん休日出勤している人がいるのですね。
鈴木氏:実際、休日出勤している人は多いんですよ。
ジョーンズ氏:日本人は確かによく動きますよ。
鈴木氏:でもアメリカ人の中には、日本人も顔負けするほど猛烈に動く人が入ると聞いていますが。
ジョーンズ氏:アメリカの中にも、確かに朝や白から夜遅くまで動き、また家にまで仕事を持ち込んで働いている人もいます。だけど、それはごく一部の経営トップとか、エリート社員です。日本人のようにごく普通のビジネスマンの多くが、長時間働いているわけではありませんよ。
鈴木氏:確かにそうです。平均的には、日本時のほうがアメリカ人より、仕事でうごいている時間は長いですね。
ジョーンズ氏:それにしても鈴木さん、日本人はなぜよく働くんでしょうかね。世界中で有名ですよ。
鈴木氏:そうですね?いくつかの理由が考えられます。。まず日本人は2000年以上、水田で稲作をする農業を続きてきました。日本は、山地が多く土地が狭いので、稲作も小規模耕作です。家畜を使うことも制約があり、人力に頼るところが大きかったんです。しかも、日本の気候では、成り行きまかせにしておいては米は育ちません。労力を惜しむと収穫を減り、手入れをよくすればそれだけ収穫が増えるんです。その点、あまり手入れをしなくても、2毛作、,三毛作のできる東南アジアなどの稲作とはずいぶん違います。来源:考试大
ジョーンズ氏:なるほど。
鈴木氏:それに封建時代には、農民は高い土地の税金や小作料を支払わなければならなかったのです。これらは現物で支払われたので、農民たちは狭い土地の中で、すこしでも多くの収穫をあげないと生活していけなかったのです。それでよく働く習慣がついたと思います、状況は日本が経済大国になった現在でも昔と変わっていません。人口が多いのに土地は狭く資源が乏しいからです。生きて行くためには働くほかないんです。
ジョーンズ氏:アメリカの西部に入植した開拓民も、ずいぶん苦労しました。モットも状況は違っていたでしょうが。
鈴木氏:私も存じています。フロンティアとしてのアメリカ農民の苦労のことは。それに日本では、儒
ジョーンズ氏:その考え方はプロテスタンティズムによく似ていますね。
鈴木氏:この点は、多くの日本人が現在でも持っている職業感に結びついていると思います。自らの職業を通じて、社会に貢献していこうと考えているのです。
ジョーンズ氏:なるほど。
鈴木氏:さらにもうひとつ重要なことがあります。それは1868年の明治維新後、それまであった厳格な階級制度が撤廃されたことです。それからh、誰もが能力と努力次第で、高い社会的地位や多くの収入を得ることができる仕組みになりました。そのために、努力して動くという気風が国民一般に広間たわけです。
ジョーンズ氏:それで日本人がどのようにして動き者になったのかよくわかりました。それにしても、休日までも出勤して、夜遅くまで働く問うのは、働きすぎではありませんか。
鈴木氏:日本のビジネスマンが皆、好んで就業時間以上に働いているわけではありません。本当の生活の豊かさを実現するためには、労働時間を短くすることが不可欠であるという世論が高まっています。これを受けて、政府?企業?労働組合ともどもその実現に努力しています。
ジョーンズ氏:それでも、まだまだ残業や出勤をする人が多いようですね。
鈴木氏:緊急な仕事があるときや、納期が迫っている時などに、各企業の従業員が比較的抵抗なく残業したり、休日出勤したりするのは事実です。その場合に、私的な事情が少なくともあるていど抑える事も多いと思います。これは日本企業の長期雇用慣行から出てきたもので、従業員たちあは「自分たちの社会」と言う意識を強く持っています。また日本人の特性である集団意向を強く持っています。職場に難しい問題あるいは緊急な課題が起こったときには、全員が協力して早期に解決しようと努力するからです。