社会人になるためだけに敬語が必要なのではなく、敬語とは本来「敬意を表するに用いられる語、及びその言い方」(広辞苑)であるとすれば、家庭や学校の中でも敬語の必要な場面は数多くあるはずである。親しい間柄で敬語を使うのは不自然だとか他人行儀であるというのは、慣れないことばを口にすることからくる気恥ずかしさが原因でもある。親しい仲に敬語を取り入れてみる努力、工夫、勇気が、敬語上達の第一歩である。
1.感じのよいことばづかい
ことばは心のあらわれである。積極的で、肯定的なものの考え方や受け止め方は、ことばづかいにもあらわれてくる。「~できません」とか「~してはいけない」という否定的なことばや、禁止をあらわすことばは、相手に感情的な反発心をおこしかねない。肯定的なことば選びをしよう。また否定を先に、肯定を後にする話し方は否定(または批判)がうすれて、相手によい感じを与える。さらにまた、相手に否定で答えるのではなく、肯定的な応答を先にして、必要ならば否定を言うようにする。
その他、婉曲な話し方として命令や断定ではなく疑問形に、要望をそうだんをもちかける形に変えることも一つの工夫である。疑問形を使うことは、相手に考える余地を残したり、相手の立場を認めることにつながる。次のような場合、どのような言い方をしたらよいか考えてみよう。
「肯定的なことばの使用」
?会議室の使用は4時までです。それ以降は使えません。
(会議室の使用は4時までになっております。どうぞごゆっくりお使いください)
?社長はただいま外出中で、3時までお目にかかれません。
(社長はただいま外出中でございます。3時以降でしたらお目にかかれると思います。)
?この本は貸出禁止です。
(この本は館内でご覧ください。)
「否定を先に、肯定を後に使用」
?田中さんはことばづかいは丁寧だけれど、声がちいさいですね。
(田中さんは声は小さいけれど、ことばづかいが丁寧ですね。)
?この部屋は明るいけれど、ちょっと狭いですね。
(この部屋はちょっと狭いけれど、明るくていいですね。)
?今度の旅行、目的地はよかったけれど強行で疲れましたね。
(今度の旅行、少々疲れましたが、よい所へ行けてよかったですね。)
「肯定で応答する」
?今日はいいお天気ですね。でも午後からは曇ってくるんですって。
(このまま続くといいですね。)
?高速道路の開通も間近になりましたね。でも環境破壊ですよ。
(おかげさまで便利になります。ただ環境の問題はのこりますね。)
「命令や断定を疑問形にする」
?至急会議を開きたいので、3時に集まってください。
(至急会議を開きたいのですが、3時にご都合はいかがでしょうか。)
?指示の内容が間違っていると思います。
(ご指示をいただきましたが、内容をもう一度ご検討いただいた方がよろしいのではないでしょうか。)
「要望を依頼形や相談形にする」
?営業車をもう一台買ってください。
(営業車をもう一台買っていただけませんでしょうかね。)
?縦書きを横書きにしてほしい。
(横書きにしたほうがいいと思いますが、どうでしょうか。)
2.プラス一言の効果
人に話しかけるときや用件に入るとき、一言前置きをすることがある。例えば「失礼ですが」とか「いまお時間よろしいでしょうか」などというように、いきなり話に入らないで前置きをしてから本論に入るとスムースに話せるものである。このメリットを、あいさつ、詫びる、断る、依頼する、承諾する、感謝する、などのことばにも付け加えて応用してみよう。一段と心がこもった言い方になる。
「あいさつ」
?おはようございます。
(おはようございます、いいお天気になりましたね。)
(おはようございます、昨日はお疲れさまでした。)
?いらっしゃいませ。
(いらっしゃいませ、いつもお世話になっております。)
?失礼いたします。
(申し訳ございませんが、お先に失礼いたします。)
「詫びる」
?申し訳ございません。
(不行き届きで、栅松辘吩Uございません。)
(さっそく調べましてご返事いたします。申し訳ございません。)
(うっかりしておりました、栅松辘吩Uございません。)
「断る」
?お断りいたします。
(あいにくでございますが)
(栅松辘筏ⅳ菠摔い韦扦工?#12539;??)
(大変勝手ではございますが、)
(恐縮でございますが、)
(せっかくでございますが、)
「依頼する」
?よろしくお願いいたします。
(お仕事中またはご多忙中申し訳ございませんが、)
(お手数をおかけいたしますが、)
(ご無理なことをお願いして恐縮ですが、)
(さっそくで申し訳ございませんが、)
(厚かましいお願いで恐縮ですが、)
「承諾する」
?承知いたしました。
(よろこんでお引受いたします。)
(たしかに承知いたしました。)
「感謝する」
?ありがとうございます。
(ご配慮いただきまして栅摔ⅳ辘趣Δ搐钉い蓼筏俊#‐
(大変お世話になりましてありがとうございました。)
(お心づかいありがとうこざいました。)